125.jpg

小さなお店番の少女 [霊科学]

某ブログより

これは北陸の某所へ出張に行った時の話です。
ちょうど11月の終わりか、12月の初め頃だったと思います。
その日、無事仕事を終え、帰りの列車まで時間があったので、少し街を
歩こうと思い、普段は行かないお土産物屋が並ぶ場所へ行きました。
本来であれば、観光地へ行くのですが、そこまでの時間がなかったと記
憶してます…。


昔ながらの家が並び、その土地特有のお土産物が並べてあるお店が並んでました。
駅のお土産物の店では買えないモノもあり、すごく新鮮でした。
その中のある店がふと気になったのですが、店の中には誰もいませんでした。
仕方なく、その店には入らず他の店を見てました。

そして一通り見て、またその店の場所に戻ってきたのです。
どうしても気になり、その誰もいない店に入る事にしました。
店に入り、商品を見まわしてふと振り返ると、店の隅に少女が立っていました。
服は時代を感じさせる和服で、少女は3~4歳といったところでしょうか。

「いらっしゃい。」

少女はそう言って頭を下げました。
その声は小さな声で、本当にそう言ってたのかどうかは定かではありませんが…。
私はその街並みで雰囲気を出すために少女にそんな服を着せているのだろうと思い、

「店番してるの?」

と聞きました。
少女は小さくうなづいて、笑ってました。

「ちょっと見せてもらうね。」

そう言って、店の中の商品を見ていました。その土地の織物で作られた扇子などもあり興味を惹きました。
幾つかの商品を買おうと手に取りながら、見ていました。

その時です。

「あら、ごめんなさいね…。」

と言いながらおばあさんが店に入ってきました。腰が曲がった小さなおばあさんでした。

「一人でやってるもんだから、店開けたまま買い物に行ってたんよ。」

そう言うとおばあさんは袋を店の奥に置いて、隅っこにあった木製の椅子に座りました。

「いえいえ、ちゃんとお孫さんが留守番してましたよ。」

私はそう言って、さっき少女を見た方を見ました。
しかし、そこに少女の姿はありませんでした。

「あれ…。おかしいな。さっきそこにお孫さんが…。」

私はそう言って商品をおばあさんに渡しました。
おばあさんは耳が少し遠いのかと思うほど反応しませんでした。
もう一度少女のいた場所を見ました。やはり誰もいません…。
店の外は少し雪がちらついてました。
おばあさんは店先にあったお菓子の包装を破るように開けて、私の前のテーブルに置きました。
そしておばあさんは急須にポットからお湯を注ぎ、お茶を出してくれました。

「お茶、飲んで下さい。」

そう言うとおばあさんはにこっと笑いました。

「ありがとうございます。」

私は椅子に座り、お茶とお菓子を頂きました。



「あの子はね…。私の姉なんですよ…。」

「お姉さん…。そんな馬鹿な…。」

私はおばあさんの言葉を疑いました。

「もう80年も前に亡くなったんですけどね。昔は私もよく見たんですけど、最近は見ません。」

おばあさんは私が買った商品を丁寧に包装しながら、そう言います。

「口減らしで、近くの村にもらわれて行ったんだけどね。その先ですぐに病気になって、
亡くなったらしいんだけど…。私は小さかったので覚えてないのよ・・・。
雪の降る寒い日に葬式を出したって母に聞いたのよ。」

おばあさんは振り返りもせずにそう話してくれました。

「もう何十年も見てないけど、姉は生まれたこの家が恋しいんだろうね…。
ホントに昔は良く見たのよ・・・。今度私に見える時は姉がお迎えに来る時だろうと私は思ってるけど…。」

そう言うと振り返り私に微笑みかけていました。
私はおばあさんの話す奇妙な話にちゃんと笑えなかったのを覚えてます。
お金を払い、商品を受け取って、

「お菓子、ありがとうございました。」

そう言って今一度、少女がいた場所を見ました。
店の外でちらついていた雪はやんでいました。

「これ、帰りに食べて下さい。」

おばあさんはそう言うとさっき開けたお菓子を幾つか袋に入れてくれました。

「姉の事を教えてくれたお礼だから。」

そう言うとおばあさんはにこっと笑い頭を小さく下げました。

「ありがとうございました…。」

このありがとうは何に対してのお礼なのか…。わたしにはわからないままでした。

何にも感じなかった少女の霊。それを聞いても笑っていられるおばあさん。
不思議な体験でした。



それから数年後。



同じように出張でその場所を訪れました。その日は雪が降っていて、道路の
両脇に雪が避けてありました。
白い雪ではなく、車の排気ガスで黒くなっている雪でした。
その日は寒かったので駅からタクシーに乗りました。
そう言えば、この辺りを…とタクシーから外を眺めていると、見覚えのある街並みが見えました。
私はそのタクシーの運転手さんに無理を言って、そこでタクシーをおりました。
急ぐ出張ではなかったので、その街並みを少し歩きました。

私は数年前に訪ねた店を見つけました。
しかし、その店は雨戸のような木製の戸が閉めてありました。
すると、すぐ横のお土産物屋の男性が出てきて、私と目があったのです。

「お土産ですか。」

その男性は言います。

「いえ…。数年前にこの店で色々と頂いて…。」

私は隣の戸が閉じられた店を指さしました。

「あー、その店はもう何年も閉まってるよ。数年前におばあさんが亡くなってからは。」

そう言うと男性は一旦、自分の店を覗いてました。
すると奥さんらしき人が店の中から出てきました。

「もう何年になるかなぁ…。」

「もう4年かな…。なんかお客さんがね、お姉さんがお店にいた事を教えてくれたってうれしそうに話しててね。
お姉さんがそろそろ迎えに来るかもしれないってうちに来て話して言ったのよ。
ホントにうれしそうだったよ。でもその翌日の朝にね、眠ったまま亡くなってたのよ。」

「俺たちもびっくりしてさー。そんな話してた次の日だったからさー。」

4年前…。私が訪ねたのと合う気がする。

「4年前のちょうど今頃ですか…。」

「そうだったね。雪がちらついてたからね…。」

奥さんはそう言うと店の中に入って行った。



おばあさんは小さなお姉さんにちゃんと会えたのでしょうか…。
そして、幸せな人生だったのでしょうか。
私は閉じられた戸を見ていました。
中からおばあさんとお姉さんの声が聞こえてくるようでした。





こちらの話は、当方のネット上の霊感のある知り合いの実体験のお話です。
読んだ時にものすごく切なくなりました。
このまま世にあまり知られずに埋もれてしまうのは、あまりに切な過ぎるので、
取り上げさせて頂きました。

nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:blog

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。